肛門外科(痔核・痔ろう・裂肛)

診療・各部門

当科では痔核、痔瘻、裂肛、直腸脱などの肛門疾患に対して、肛門機能の温存を目指した根治手術を行っています。すべての肛門疾患の手術は通常5日間の入院です。

手術件数

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

肛門手術

79

77

54

69

83

I.痔核(いぼ痔)

痔核はその局在によって内痔核と外痔核に大別されます。痔核の状態や保存的治療で改善しない場合、あるいは患者さんのご希望に応じ手術を検討します。

①  外痔核の多くは血栓性外痔核というもので、血まめの状態です。多くのものは保存的治療で時間とともに吸収され、縮小・消失します。一方、痛みが強い場合には局所麻酔をして血まめを除去することで症状が改善する場合もあります。ほとんどのものが日帰りで外来処置が可能です。

②  内痔核は肛門の奥の血管(静脈叢)が腫れてできる“いぼ痔”ですが、生活習慣病でもあり、排便習慣や日常のストレス、飲酒などを見直すことは重要です。保存的治療で良くなる場合もありますが、痛みや出血、脱出時の違和感が強い場合などには手術が必要となります。痔核の状態に応じて、結紮切除術、ゴム輪結紮術および硬化療法(ALTA)などを適切に判断して行っています。

Ⅱ.痔瘻(あな痔)

痔瘻とは肛門内から細菌が侵入し感染を起こし、皮膚へのトンネルが出来てしまう病気です。原則的に手術が必要となりますが、細菌が侵入した入り口(一次口)、感染を起こして膿を貯めた部位(原発巣)、皮膚への出口(二次口)を適切に処理することが大切です。痔瘻の状態に応じて、切開開放術、くり抜き法および輪ゴムを用いたシートン法などを行っています。

Ⅲ.裂肛(切れ痔)

排便時に肛門が切れて出血や痛みが起こる病態ですが、急性のものと慢性のものがあります。急性のものは、ほとんどの場合が保存的に数日で軽快します。一方、慢性のものは肛門変形や狭窄を生じ便が出なくなってしまう場合があり、手術が必要になります。裂肛の状態に応じて、肛門括約筋拡張術や内肛門括約筋側方切開術および皮膚弁移動術などを行っています。

Ⅳ.直腸脱

直腸脱は直腸壁の一部ないし全層が肛門外に脱出する病態です。粘膜のみ脱出するものを不完全直腸脱、全層であれば完全直腸脱と言います。脱肛(いぼ痔)とはまったく異なる病態です。排便障害や出血、痛みなどを伴う場合には手術が必要となります。ご高齢の方に多い疾患でもあり、低侵襲な手術で対応するように努めております。直腸脱の状態に応じて、ガント-三輪法、ティールシュ法などを行っています。