診療・各部門
スタッフ:常勤医1名
臨床病理診断科主任部長 兼臨床検査部長 |
櫻井 信司 | 群馬大学 平成2年卒(医学博士) 日本病理学会病理専門医 日本臨床細胞学会細胞診専門医 |
病理診断科
櫻井信司(病理診断科(兼)臨床検査部長)
現在、当院の病理診断科は常勤の病理診断医(私)1名と、非常勤医1名、細胞検査士4名を含む臨床検査技師6名で構成しています。病理診断科では、胃カメラや大腸カメラ、子宮がん検診などで採取された組織や、手術で切除された組織など、全診療科の標本を作製し、顕微鏡下で診断しています。また、紹介元の病院で行った病理検査の再評価も行います。ここ数年、病理診断科に提出される組織件数は年間4,200件前後、細胞診の検体数は一万件を越え、婦人科領域の診断件数は県内でもトップクラスにあります。
近年、当院で採取された組織検体に占める前癌病変、悪性病変の割合は右肩上がりに上昇してきました。患者さんの高齢化に伴い、悪性、腫瘍性病変の発生件数が増加するのは自然の流れで、他の病気で受診されている患者さんについても、悪性腫瘍の合併は常に念頭にいれなければなりません。
しかし、新型コロナウイルスCOVID-19のパンデミック発生当時、日本中の病院、診療所で患者さんの受診抑制がおきました。当院の健診センターも一時、検診の受け入れを中止していました。その後も全国的にしばらくは健康診断やがん検診、外来の受診抑制が見られ、悪性腫瘍の発見率が減少しているとのデータがあります。当院でも2020, 21年度、病理組織検体中に占める前癌、悪性病変の割合が、この十数年間で初めて減少しました。コロナによる健康診断、がん検診受診率の低下が関係しているのかもしれません。ただでさえ日本人女性の乳がん、子宮がん検診受診率は世界で最低のレベルにあり、日本は子宮頚癌の死亡率が先進国で唯一増加し続けている国です。他の疾患も含め、コロナ流行による受診抑制が病気の早期発見、早期治療の遅れにつながらないよう、適切な間隔での健康診断、がん検診、病院の受診をおすすめします。
胃癌の病理組織標本(HE染色)